
このカメラは十年くらい前に米国のカメラ屋へ新品を注文したもので、当時ハッセルの中古レンズ一本の値段で標準セットを二組買ってもまだお釣りがくる安さに呆れて、興味津々面白半分で購入しました。標準セットに色々おまけ付で確か$750くらいだったと思う。
とにかく使えるレンズが豊富なのと驚くほどの低価格が魅力で、30ミリから180ミリまで海外のオークションで色々と入手しました。マウントはペンタコンシックスマウント、スピゴット式に変更されています。多分その関係で88CMと命名されたのだろうと思う。
以前からハッセルは使っていたので、人前でKIEVを使うのは(見栄もあるし)ちょいとこっぱずかしい部分もありましたが、撮れる写真に遜色は無く、買った当時はフレクトゴンだのビオメターだのとツアイス・イエナのレンズを付けてよく撮ったものです。しかしそれもマイブームが去って、何年も防湿庫でほっておくうちに徐々にシャッターに鈍さが出始めてきました。間違った操作をした覚えは無いのですが、高速シャッター側の速度が出ない。晴天や雪景色は軒並みオーバー露光のオンパレードになるので余計疎遠になっておりました。
今回、使えない(ほどではないが)カメラをいつまでもこのまま置いとくのもナニなので、思いたって分解して注油してみることにしました。昔一度だけサリュートを分解したことがあるので大体感じは分かっていたのですが、やっぱり一抹の不安は隠せません。記録用のデジカメを脇においてパチパチやりながらの解体となりました。


内面反射防止用の華奢なブリキを注意しながら取り外すと大体機構の概観が掴めるようになるのですが、シャッターの細かい仕組みや改良にまではなかなか至りません。回転軸やギヤーなどに軽く注油して様子を見ることにしました。あまりやりすぎると手に負えなくなってくるので。


組み上げは解体作業を逆に遡ればよい訳ですが、巻き上げクランクのブロックを取り付ける際、ギヤーの噛み合わせがずれるとシャッター速度全般に影響が出てしまいます。最悪はシャッターチャージ、シャッター幕の巻上げすら出来なくなります。どうしてもいじっている間にギヤーが動いてしまうので、写真を撮っておくなりマーキングをするなりしておいた方が無難ですね。とはいいつつ、この部分は何度も何度もやり直す羽目になりました。それもこれも、やってみて初めて解ったことなんですが。

